懐かしの安手ローカル番組
 『Eとの電話の最中に、スカパーの契約が完了したと通知が入る。1週間くらいかかるって書いてあったのに。どの番組も安っぽいちゃ安っぽいが、福岡ローカルの番組に通ずる素朴さがいい。(アダルトビデオ的ともいえるが)』(2003年9月11日付の日記より)

 2003年9月の話です。
 アタシはこの年の8月、当時勤めていた会社に辞表を出して辞めることは決まっていたのですが、引き継ぎやらなんやらで、結局10月の半ばまで出勤していました。
 会社を辞める=勤務地である東京から離れなければならないってのはわかっていたのですが、それでも最後の足掻きではないけど、それなりに、ま、遊びを含めてですが、いろいろ動いていたのです。
 近々には引っ越すことがわかっていながら、アタシはスカパーの申し込みをしている。というのもね、この頃阪神の優勝が目前に迫っており、しかしアタシの住む東京ではテレビ中継はほとんどない。
 何しろ2003年の話ですから、当然DAZNだのがあるわけがなく、関西以外の土地で毎日阪神戦の中継を見たければ、もうスカパーに入るしかなかったわけで。
 それで、阪神の優勝決定試合が目前と思われるこの時期になって、やっとこさスカパーを登録したと。んなことならもっと早くやっとけば良かったのにね。

 もちろん、せっかくスカパーに入ったんだから、阪神戦以外も見ます。映画専門のチャンネルとかもあるし、ま、当然です。
 とにかく嬉しかったのは、アタシが中学生の頃だったかな、に観て、メチャクチャ影響を受けた「こんにちは赤ちゃん」を衛星劇場でやってたんですよ。偶然にも二週間全チャンネル無料期間にね。
 「こんにちは赤ちゃん」は日活と東宝の競作だったんだけど、アタシが昔ハマったのは東宝版の方。んでこの時衛星劇場でやってたのも東宝版。天の助けか神の御加護か、金比羅さんのご利益か。しかしまさか松竹系の衛星劇場で東宝の映画をやるとはね。(つかむしろ、これは今でもなんだけど、昔の東宝映画のマイナー目のヤツは、衛星劇場の方が定期的にやってる気がする)

 野球もない、「こんにちは赤ちゃん」のようなアタシにとってはお宝的な映画もやってない時は、物珍しさでいろんなチャンネルを見たりしました。
 とくに面白い、いや番組として面白いというよりもアタシ的に存在が面白いと思ったのがMONDO21(現・MONDO TV)でした。
 とにかくすべてが安っぽい。先の日記にも書いてるように映像だけならアダルトビデオと寸分違わない。もう、アダルトビデオからイカガワシイところを抜いたような番組ばっかりで。
 ま、まるでイカガワシくないのかというと、適度にイカガワシイ。アダルトビデオではないけど、それに限りなく近いVシネみたいなのはやってたし、とくに「なんじゃこれ」と思ったのが、グラビアアイドルのイメージビデオです。

 最初は何気なく見てたんだけと、なんか、どうも変で、グラビアアイドルの化粧から水着に至るまで、すべてが古臭い。
 そのうち自己紹介が始まってね。「◯川△子、昭和45年3月生まれ」みたいな感じで。
 え?ちょっと待て。昭和45年と言えば1970年です。んでアタシが眺めていたのが2003年。つーことは何か?あんた今年33歳つーこと?
 もちろんそんなわけはない。だって「今年で18歳」とか言ってるし。
 つまりはですね、その時から数えて15年も前のイメージビデオを放送していたのです。
 この時以来MONDO TVを見てないから、今もこんなことやってるのか知らないけど、何というか、いろいろすごいな、と。これがスカパーってヤツかよ、と。

 もう一度、引用した日記に話を戻します。
 『福岡ローカルの番組に通ずる素朴さがいい』と書いてありますが、アタシはサラリーマンになる前の1998年から2000年まで福岡に居を構えておりました。
 それまでアタシはキー局(東京制作)か準キー局(大阪制作)の番組しか見たことがなかったから、初めて見る福岡制作の番組の安っぽさは衝撃的でした。
 アタシは神戸出身なので、当然サンテレビも見たことがあるんだけど、サンテレビ制作の番組とも違う。サンテレビの番組も安っぽさの極致だけど、別にキー局の番組や準キー局の番組と張り合おうとしてないんですよ。ウチは予算がないからこんなふうにやりますよ、みたいな開き直りがあるんです。
 ところが福岡ローカル番組はそうじゃない。もう全力で肩肘張って、何とかキー局の番組っぽく見せようと必死になってる、というか。

 最初はね、思いっきり莫迦にしてたんです。おめーらがいくら必死でやったって、それ、ぜんぜん違うから。つか真似よう真似ようって姿勢が痛々しいんだから無理せずローカルなりの色を出せばいいのに、と。
 ところが莫迦にしながらも見ているとね、フシギなもので「背伸びし切った」ローカル番組が可愛く思えてきたんです。
 アタシがとくに「可愛いなぁ」と思った福岡ローカル番組はKBS制作の「ドォーモ」です。
 何でもアタシが福岡に引っ越す前の「ドォーモ」はそれなりに面白い番組だったらしい。あまり肩肘張っておらず、ローカル番組の良さがあった、と言います。
 しかし1999年に出演者総入れ替えを含めた大リニューアルをしたらしく、結果アタシが目にした「ドォーモ」はまさしく「限界まで背伸びした」典型的な番組になっていたんです。
 それこそ「まるで背伸びしてないのに全国区の番組になってしまった」北海道(HTB)制作の「水曜どうでしょう」と正反対です。

 何しろアタシが「ドォーモ」を見ていたのは1999年から2000年の途中まで。以後福岡に遊びに行った時はなるべく見るようにはしてるんだけど、まァ、嫌がられるんだわ。
 福岡在住の友人Eなんか「ドォーモ見たいねんけど」と言うだけで、ものすごく嫌な顔をする。それでも我慢してチャンネルを合わせてくれるんだけど、ものの5分もしないうちに「もうええやろ」とチャンネルを変えられてしまうんです。
 Eが「ドォーモ」に嫌悪感を抱く理由はまったくアタシと同じで、何でキー局番組の出来損ないみたいなものを作るのか、と。
 アタシとしてはそれが可愛くてしかたがないんだけど、福岡に在住しているEにはとてもじゃないけどそんな感情が湧かないらしい。それは、もう、よくわかるんだけどね。

 この「可愛い」という感情は、いわば見下しの発想からきてるんですよね結局は。
 田舎から都会に出てきた女の子がね、ガンバレルーヤじゃないけど、メイクじゃなくてマジモンの頬っぺたが赤いような子ですよ。そんな子が必死で化粧してね、服も本当は原宿かなんかで買いたいんだけど(って発想も田舎くさいけど)怖くて買いに行けないから、高円寺駅前のオリンピックかなんかで買ったりなんかして。
 オリンピックなんか関東一円にしかないからね。そりゃ田舎から出てきた子からしたらすごいんですよ。だからユニクロでもGUでもしまむらでもなく、オリンピック。(一応補足するならオリンピックはディスカウントストアです)
 んで休みの日に渋谷なんかに出掛けちゃったりしてさ、でもどこに行っていいのかもわからない。とりあえずハチ公像は見たけど、109に入る勇気はないし、何もすることがないからスクランブル交差点にあるビジョンをずっと眺めたりなんかしてる。
 あ、実はこっちにもビジョンがあるじゃん!え?こっちにも!?

 ・・・そーゆー子がいたら可愛いと思いませんか?アタシもうっかりしてたというか、変なことを書いてしまったから、ガンバレルーヤのよしこのビジュアルしか浮かばないかもしれないけど、ま、見た目じゃなくね、そうやって必死にやればやるほど浮き足立つ子って、なんか抱きしめたくなります。いやだから、よしこは抱きしめたくならないって。
 とにかくそんな感じなんですよ。アタシにとっての福岡ローカル番組っつーか「ドォーモ」は。
 「ドォーモ」の他にも「ナイトシャッフル」とかもそうですね。何か今は放送時間も変わったみたいだけど、あれも背伸び感が強かったな。
 でもフシギなことに夕方のワイド番組はあんまり背伸びがないんです。「めんたいワイド」あたりはあんまり無理してない感じがする。そうなると、番組としてはマトモなんだけど、可愛くはない。田舎の子があえて方言丸出しで喋って方言の可愛さアピールをしてるみたい、というか。

 ああ、こんなこと書いてるとまたEに怒られるな。
 福岡ローカル番組の女体化なんてしたら、あの福岡の女性タレントが浮かぶに決まってるだろうから。名前を出すともっと怒られるから書かないでおくけど、ほれ、あの人ですよ。あの、しゅっさ・・・いや、マジで止めとく。まだ死にたくないもん。
 そっちじゃないから。アタシが言ってるのはガンバレルーヤのよしこだから!いやよしこでもないんだけど。

 (初稿 2004年3月20日更新「『ドォーモ』のこと」・改稿 2018年6月11日)